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特集はウクライナ侵攻と憲法「改正」

必要最小限度の自衛力を持つという政府見解は、どこまでが必要最小限度かが非常難しく、固有の自衛権を持つという考えには矛盾が生じる。それゆえ平和を求める強い意志と決意を基本とし、戦力行使以外のあらゆる方法を尽くすことが平和憲法の意義であると中央大名誉教授の植野妙実子氏が説く。

自分の国を守るために戦うのか、逃げるのか、降伏するかはそれぞれの国民が決めるべきであり、「国の為にみんなが戦わなければいけない」という議論は、国家を国民の上に置いた議論で、設定そのものが現憲法の理念からずれていると日体大教授の清水雅彦氏が語る。

学習院大教授の青井未帆氏が、日本国憲法は個人の自由を基調にした立憲主義の系統にあり国際的にも一般的であるにもかかわらず、政治エリートの世界では日本の独自性や固有性を憲法に求め、自民党の改憲草案でも「日本にふさわしい」、「我が国の歴史、文化、伝統を踏まえた」というように固有性の必要を強調していると解説し、憲法が保障している個人の尊重の意味の重要性を論述する。

「侵略しているロシアが100%悪い」というメディアの報道は危険、と神奈川大教授の羽場久美子氏が語る。ウクライナとロシアのこれまでの関係を踏まえ現地で何が起きているのかを多面的にとらえ報道する必要が、特に日本のメディアには必要で、アメリカ政府がどんな意図で情報を流しているのかを含めて伝え、和平の糸口を考えることが必要だと説く。

外務省欧亜局長を務めた静岡県立大客員教授の東郷和彦氏が、ロシアとウクライナの歴史を踏まえ、プーチンとバイデン・ゼレンスキーの相克を知ることの重要性を解説するとともに、長く領土交渉をしてきた日本がやれることがもっとあるのではと語る。

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