特集は「参院選 何を問うべきか」
維新が野党第1党になるかが一つの焦点になる参院選。しかし争点がはっきりしていない。毎日新聞客員編集委員の倉重篤郎氏が、国民の命を守る外交・安保政策と生活を守る財政・経済政策についてあるべき争点を提起する。
岸田総理が憲法9条への自衛隊の明記や緊急事態条項などの憲法改正の早期実現を表明する中で、野党は共闘体制が組めずにいる。ウクライナ侵略で高まる「抑止力」強化の風潮の中で上智大教授の中野晃一氏が、「抑止」は「安全供与」とセットでなければならないと説き、参院選の結果次第では、労働者の代表の声が消え、民意のチェックがきかなくなる恐れがあると語る。
世界は50年周期の大転換期にあるとする立教大特任教授の金子勝氏が、岸田政権はアベノミクスのツケで有効な手立てが打てなくなっており、このままでは日本売りが進み経済の空洞化を生むと警告し、大胆な政策転換をしないと日本経済が破綻すると解説する。
ウクライナの戦争ではロシアの侵略という点が強調されているが、イラク戦争、アフガニスタン戦争、リビア侵攻がアメリカ主導の下で行われたこと、ロシアにとってはウクライナのNATO加盟への動きが、自国を脅かすものであったことという歴史や視点を踏まえる必要があると、元外務省国際情報局長の孫崎亨氏が説き、敵基地攻撃能力を持つことは、憲法9条をたてに、米国に対抗するすべを失うものだと訴える。
昨年の衆院選で維新はなぜ票を伸ばしたのか。それは新自由主義と自己責任の広がりにあると関西学院大教授の冨田宏冶氏が語る。維新の地盤の大阪で起きていることは貧富の拡大であり、それは病院や保健所など公的機関の削減による新型コロナの死亡率の高さや子供の貧困率に表れていると、維新の地方行政がもたらしたものを指摘する。