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特集は「進む憲法の形骸化」

軍事強化で憲法9条の形骸化が進められる中、実態に合わせ改憲するべきだという議論が強まっているが、東北大名誉教授の辻村みよ子氏は、世界には、憲法に平和条項を明記して非核・軍縮を目指す多くの国があり、その中でも日本国憲法が最も徹底した理想型を世界に示している意味を重視すべきと指摘する。

中央大名誉教授の植野妙実子氏が、自民党の憲法改正4項目によって戦争の放棄という憲法の大原則が法律により変えられる可能性があると警鐘を鳴らし、現状で対応できるにもかかわらず緊急事態条項を設ける危険性、さらに安保三文書にみられる専守防衛からの転換を指摘する。

憲法審査会の本来の役割は憲法改正案作りと憲法の状況の調査の2つあるが、今は改憲案作りの議論ばかりが突出し、以前の憲法調査会と比べて丁寧な議論に欠けていて、改憲に突き進んでいるようだと社民党党首の福島みずほ氏が警鐘を鳴らす。

憲法53条の「議員の4分の1以上の要求があれば内閣は国会を召集しなければならない」という規定があるにもかかわらず、安倍内閣は野党の臨時国会召集の要求を無視し続け、国会召集当日に解散した。これについて訴訟が起こされたが、高裁判決はいずれも憲法判断をしなかった。なぜ裁判所は憲法判断を避けるのか関西大教授の高作正博氏が解説する。

この間、選択的夫婦別姓やLGBTの問題などについて自民党右派のバッシングが行われてきた。「家族生活における個人の尊厳」や「「両性の平等」を保障する憲法24条とジェンダー平等の問題の問題について室蘭工業大大学院教授の清末愛砂氏が語る。

特集以外では参議院議員秘書の榎本順一氏から入管法改正案の問題点についてご寄稿いただいた。

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