特集は「入管政策と外国人の人権」
難民審査参与員を10年以上務めた阿部浩己明治学院大教授が、日本の難民認定制度の問題点を解説する。入管のみで完結する認定審査は、誰がどのように決定しているのか不透明で、司法の関与がないことは憲法や国際法上問題であり今後追求していく必要があると訴える。
立法事実が崩れたにもかかわらず、入管法改正の強行採決したのは国会の存在意義を崩すものだと、入管の民族差別・人権侵害と闘う全国市民連合代表の指宿昭一弁護士が語る。また、「外国人は管理すべきもの」という考えを持つ入管庁自らが送還忌避者を作りだし、外国人嫌悪の感情を生み出していると指摘する。
外国人労働者を使いたい時だけ使い必要がなくなると排除するのが今の日本だが、技能実習制度などを現実に合った形で見直し、他民族・多文化共生社会に進んでいくことが必要と、移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事の鳥井一平氏が訴える。
30年以上にわたり外国人労働者とその家族の支援活動を続けている「外国人労働者奈良保証人バンク」事務局長の山本直子氏が、長年の体験をもとに外国人労働者の実情と入管の対応を記し、「外国人問題」は日本社会の問題であり、日本が変わらねばならないと説く。
岩手大准教授の菊池洋氏が、入管難民法「改正」で明らかになった問題点を出入国管理と難民認定に分けて解説し、日本における今後の外国人の人権と難民認定の在り方を提示する。
アムネスティ・インターナショナルのコンサルタントとして入管施設の被収容者から聞き取りをした経験を持つ新宿区議の山口かおる氏が今回の難民入管法「改正」の問題点を指摘する。